前回、セラピストは様々な角度から「凝り」を考えている、ということをお伝えしました。

では、いったい「凝り」って何なんでしょうか?

凝りの事を、我々セラピストは「硬結」と呼んでいます。

この硬結が起こる原因は、5つのタイプに分類されます。

1つは“使いすぎ(over use)”による硬結です。

 

使いすぎによる凝り(over use)

筋肉トレーニングをした後や沢山動いた後の筋肉を想像してみてください。

パンパンに張っていませんか?

筋肉は沢山使うと、内部に蓄えている栄養をエネルギーに変えて絞り出します。

やがてエネルギーが枯渇すると、筋肉は動かなくなります。

この時に筋肉は再度、栄養を補ったり血液やリンパをたくさん入れて老廃物を流そうとするのです。

一時的に血液が集まるため、筋肉は水風船のように膨らみます。つまりパンパンな状態になります。

「あれ?でもマッサージ師さんは、よく血行が悪くなってるから凝るんですよって言うけど・・・」

 

そうなんです、筋肉を使えば血流は良くなるのに、なぜ「凝る」のでしょうか?

その答えは、使った後の筋肉を考えると出てきます。

使ってパンパンに張るのは1つの筋肉だけではありません。

周りの筋肉も一緒に使うので、パンパンに張ると、筋肉同士で互いに押し付けあいます。

普段は筋肉と筋肉の間には摩擦が起きないように滑液が流れていて、筋肉同士がくっつかないようになっています。

これがパンパンに張って互いに押し付けあうと、隙間がなくなり滑液が出にくくなり、筋肉同士で癒着が始まるのです。

 

 (癒着した筋肉)

 

筋肉が癒着してしまうと正常に収縮しずらくなり、筋ポンプ作用(筋肉が収縮する力を利用して、血液やリンパを循環させる作用)が低下し、栄養不足となり硬結してしまいます。

これらを改善するには、癒着してしまった筋肉を剝がし、軟化させ本来の筋の動きを出してあげる事です。

最近では「筋膜リリース」などが有名ですよね。

ただ、癒着を剥がすだけではなく、剥がした後は適度な運動をすることで、筋ポンプ作用が賦活され組織の栄養状態が改善し、硬結も改善しやすくなります。

 

次回は2つ目の「使わなすぎ(under use)」による硬結をご紹介します。