「凝り」についての解説6回目は「心理/社会的要因による硬結」です。なかなか聞きなれない言葉ですが、ストレスによる硬結と考えていただければ良いと思います。

 

私たちの身体は、自律神経によって血管を広げたり、閉じたりしています。(この場合の血管とは毛細血管や末梢循環の事を指しています。)

 

血管を広げる場合はリラックスしているときなどで、血管を広げることにより組織内に栄養を沢山入れることで組織を回復させたり、新陳代謝を促したりしています。この作用を行っているのが、自律神経の中でも副交感神経と呼ばれている神経が行っています。

 

逆に、血管を閉じて、血圧を上げて、いつでも体を動かせる状態にする作用をしているのが、自律神経の中でも交感神経と呼ばれる神経が行っています。

 

血圧が上がるというと悪いイメージがありますが、私たちが狩りをしている時代に、獲物と対峙した時など、いつでも戦える状態に体を作っておかないと獲物を狩れませんし、危機的なことが起きた場合、いつでも逃げる準備をしておかないと危険ですから、何か行動を起こす時は交感神経が活発にならないと、身体は動かないので、悪いことではありません。

 

危険が去った後は、身体がリラックスして交感神経から副交感神経が優位になり、身体を動かすために使ったエネルギーを回復しようと、血管を広げて組織に血液を送り、細胞に栄養を入れるようにしています。

細胞の循環イメージ図 参考引用 GOODHEALTH

https://good-health.jp/women-worth-seeing-katacori-cancellation-1577

 

しかし、狩猟時代は危機的な状態に陥ることは、獲物がいた時など一時的なもので、獲物がとれたり、危ない状態から逃げ切れば、その後は、リラックスでき、身体も回復しやすかったのですが、現代社会では、仕事の納期に追われていたり、人間関係などで慢性的なストレスがかかり、交感神経が常に働いている状態が続いていたりしています。

 

更に、情報化社会になり、TVやラジオでも体に関する情報を絶えず流しています。「この症状は危険だ」「これは食べてはいけない」「危険な肩こり」など、興味を引く題名が多いですが、どれも恐怖感を与え「わたしそうなのかも!!」「あらー怖いわ」となり絶えずその事が頭から離れないと、ストレスとなり交感神経が活発になります。

 

交感神経が優位になり続けると、血管は閉じて、圧をかけ続けますから、組織内が慢性的な栄養・酸素不足に陥り、組織が固くなって、硬結=凝りとなってしまいます。

 

また、慢性的なストレス状態になってしまうと、常に筋肉が栄養不足になってしまいますので、身体は筋肉に栄養を回そうとしますが、循環が悪くなっているため、効率的に栄養を吸収できず、自律神経は内臓にもつながっていますから、内臓の血管も閉じてしまい栄養吸収率も落ちてしまいます。

(【画像引用元】スポーツメディスン186,土屋潤二,連載オランダ徒手療法,p46)

 

この凝りの場合は、ストレスを軽減することが重要になりますので、気持ちのいいマッサージでリラックスしてもらうのも良いですし、最近では「呼吸法」なども注目されています。ちょっとした隙間時間でできる、ボディーワークなので、最近ストレス溜まっているな?と思ったら是非、やられてはみては如何でしょうか?