こんにちは 訪問マッサージ nordic-ノルディック- の宮倉です。
さて、今回のコラムは「組織鑑別」について私なりの考えをお伝えしたいと思います。
きっかけは後輩との会話
このコラムを書こうと思ったきっかけは一人の後輩との会話からでした。
後「先生、、患者さんで膝が悪い人がいるんだけどなかなか改善しなくて。。。」
宮「そうなんだー、膝は構造的にシンプルだけど難しいよね」
後「それで血行良くしようと思って凝っている大腿(太もも)を揉みほぐしても効果なくて困ってます」
宮「ん?その人は血行の問題で膝が痛いのかな?」
後「え?いや、会社の先輩の指示で、膝が痛い人は血行が悪くて凝ってるいから、このラインで揉むように教わったのでやってます。」
宮「その患者さんは、どんなときに膝が痛むのかな?」
後「んー、、歩くときかな?」
宮「曲げるとき痛いのかな?それとも伸ばしたとき?」
後「体重をかけたときかな?」
宮「炎症はあるかな?痛む場所はどの辺かな」
後「炎症は。。。無い。。。と思います。痛む場所は内側かな。。」
宮「歩くときの姿勢や、痛む膝の角度はどうかな?または内側にストレスをかけた時はどうかな?」
後「いやーそこまでみてないです。とりあえず会社の先輩から教わったことしてるんで」
宮「あー、、、そうか、、、じゃあ今度は良く観察してみると良いと思うよ。そしたらまた教えてちょ」
後「はい」
「凝ってる=悪い」というわけでは無い
この会話で後輩くんの問題は、凝ってるいるから揉みほぐして改善しようという視点で現在の患者さんをみてしまっていることだと思います。
確かに筋肉が硬くなると周囲の血流障害が起きて、軟部組織(筋肉など)に栄養が入りにくくなり組織が弱くなってしまうでしょう。
じゃあ、揉んで柔らくすれば良いじゃん!!
と、思うかもしれませんが、難しいことにそんな単純では無いのです。
後輩くんの話から推測すると、この患者さんは膝の内側の靭帯、または軟骨、半月板辺りに原因がありそうです。
また、「歩くと痛い」ということから膝を上手く支えられてないことが推測されます。
また、太ももが硬くなっていることから、硬くなる原因があるようです。
例えば、お尻の筋肉や体幹の筋肉が落ちて、太ももに余計な力が入りやすくなってしまい、膝の負担が大きくなってしまっているのかもしれません。
そして弱った筋肉の代わりに硬くなって、膝を支えているかもしれませんね。
では、これを揉みほぐしてしまったらどうなるでしょう・・・・
答えは・・・・
膝がさらに不安定になる可能性があります。
不安定になるから、身体はさらに太もも周囲を固めて膝を守ろうとします(一時的には楽になります。)
しかし、後輩くんは痛い原因=筋肉の凝りというように解釈してしまっているようです。
でも結果が出ない。
会社の先輩の手前、指示は守らないといけませんが、変わらなければやり方を変える提案をしたほうが良いかもしれません。
原因が変わればやり方も変わる
関節周囲には様々な組織がくっ付いて構成されています。
例えば
骨、軟骨、靭帯、関節包(滑膜)、滑液包、筋肉、筋膜、皮膚、血管、脂肪体、神経
これだけの組織で構成されています。
痛い原因が筋肉や血行だけの問題で捉えてしまうと、他の組織の可能性を否定してしまうことになります。
また、どの組織にも痛む時の特徴があるので、その特徴を捉えればどの組織が原因なのかある程度特定できます。
筋肉が原因の場合と、軟骨が原因の場合だと患者さんに対するアプローチも変わります。
いや、むしろ変えないと効果は出ませんよね。
だからこそ患者さんの動きや、姿勢、問診など細かく行い、評価をして「何の組織が」「何で痛いのか」「原因は何だ」ということを常に考えていかなければなりません。
なかなか結果が出ない時、もう一度患者さんをよくみてみましょう!!
私も若い時に後輩くんと同じ壁にぶつかる事が何度もありました。
まあ、、今でもありますけど笑
でもその壁がきっと後輩くんを成長させてくれると思います。
頑張れ後輩くん!!私も頑張ります!!